2008年11月6日木曜日

笠ヶ岳




登山シーズンもそろそろ終わり、今年登った山を振り返ります。はじめに登ったのはいきなりの笠ヶ岳。笠新道の厳しい道のりは、かつてない苦しみを味わい、日焼けでや肉刺で水ぶくれができるなど、準備知識がないせいで、ツラい経験もしましたが、御来光と絶景と、達成感で今までで最も良かった山行でした。

お盆休み前、今年の初登りを、どこにいくか思考しましたが、今年冬から来年一年丸々資格試験の勉強でほとんど無理なので、思い切ってメジャーな山に挑戦しようと思い、一応現在は岐阜県民だし、県境を除いた岐阜県最高峰の笠ヶ岳に挑戦することににしました。


8月10日、夜中3時半頃家を出て、東海北陸道を走り、新穂高の鍋平ロープウェイ駐車場に着いたのは朝6時前でした。
鍋平の駐車場にしたのは、無料駐車場がどうせいっぱいだし、500円(一回)で済むならここが一番ましかなと思ったからで、同じように、西穂以外の山に登られる人達もこの駐車場で下りのロープウェイに乗る人が大勢しました。

ちなみにかなり下ったところに無料の駐車場があるが、ロープウェイの乗り場までかなりの距離。新穂高のロープウェイ駅に下る道もどこかにあるらしいんですが、よく分からなかったのでそのまま7時始発の下りロープウェイに乗りました。
駐車場で隣になったおじさんは、鈴鹿の方で、双六に一回行ったのみで北アルプスは初心者だということでしたが、その日は槍平小屋に泊まり、翌日槍~南岳の小屋泊→キレット越えして北穂から涸沢、奥穂山荘泊→西穂というゴールデンな縦走を計画していました。

岩稜地帯は御在所で鍛えてきたらしいのですが、単独で北穂のキレットと奥穂西穂間を一気に行こうとする根性に、無謀さというか…唖然としました。単独だけど、くれぐれも独りにならないよう気をつけてと挨拶を交わし、センターに登山届けを提出してお別れしました。
ロープウェイから見上げながら眺めた笠ヶ岳が異様に高く、今日一日であんなところまで行けるんかしら…と不安な気持ちで左俣谷の林道を笠新道登山口まで向かいました。
笠新道登山口に着いたのは8時。夏場の山行としては完全に出遅れた出発ですが、なんせ一年間まったく登ってなかったので、山の感覚、緊張感が欠けていたと後々思いました。



笠新道は九十九折の急登が約4時間も続く大変厳しい道で、おまけに前夜二時間ほどの睡眠で登ろうとしていたため、1時間も経たない間に、寝不足の影響で、ものすごい息切れと、吐き気がしてきてふら付き始めました。

5mほど進むのがやっとで、ゼイゼイ息しながら休止するといった状態がづっと続き。杓子平まであと2時間とか(よく覚えてない…)札を見てからは、どうにもこうにもならなくなっていました。
ほぼ同時に出た単独のおじいさんと抜きつ抜かれつ状態だったんですが、森林地帯を抜けると強烈な日差しで登っていても眠ってしまう危ない状態が続きました。それに頻繁にくる足の痙攣。ツッた状態で無理やり歩くのが非常に辛かったです。

「日陰…。日陰がほしい…。」と切に思いながら、降りてくる人に「とてもキツイです…。杓子平まであとどれくらいですか?」と訊ねる一方でした。「一緒に下りる?」とも冗談まじりで言われたり…。時計ばかりを見て予定時刻がどんどん過ぎていく為に、焦りもあって、正直無理かも…下山しようかとも思い始めました。天候不良以外で、体力のなさで、下山しようと頭によぎったのは初めてでした。

ようやく木陰を見つけて、ザックを下ろし、そのまま30分ほど眠ってしまいました。少し体力が回復したところで、予備の為に持ってきた栄養ドリンクを飲んでだいぶ回復。その後は苦しみながらも休止回数が減り、同行してたおじいさんと少し距離ができました。

登山道の上を見上げた時の稜線が手に届きそうに近くなってきた頃、下ってきた男性に、「杓子平はもうすぐそこですよ。」と言われて、「やっとだ…。」と安堵。程なくして開けた杓子平にでました。時刻は1時20分。5時間20分かかって杓子平に到着。

杓子から見えた笠ヶ岳がまた遠いこと…。山荘は笠ヶ岳のすぐ脇なので、夕方までに行けるのか不安になりました。何人か、同じように稜線までの登りを行く人がいたので、自分も体力が回復次第、大休止はなしで、抜戸岳の稜線への道を急ぎました。
それにしても、ガイドでは1時間20分とあるこの稜線までの登りも、非常に辛くて少し登って休憩の繰返し。さすがに他の人達との差もあまりつかなかったので、他の人も同じように苦しかったんだろうなと思います。
ようやくピークを過ぎて、午後3時20分抜戸岳分岐へ。抜戸岳はすぐそこでしたが、体力が危険状態なので、急いで笠までの稜線を行きました。
それまでとは変わっての稜線歩きは景色は良かったんですが、疲れが足にきて、少しの登りもキツくてザックを下ろしてしまう状態。
なんとか笠ヶ岳のテント場前の登りに差し掛かり、一気にあがってテントの間を通って、雪渓を渡り、どうにか笠ヶ岳山荘へ。午後4時30分着でした。

着いてホッとしたのか、本当に疲れきっていて、早く明日への全ての準備を済ませて眠りに就きたいと思いました。ついてほっとする間にすぐ食事の時間で、翌朝の一通りの準備が出来たところで、外に出ると日が暮れていくところで、ここではじめて写真を撮りました。





正面の穂高連峰は雲で見えず、登ってきた稜線にも雲がかかります。笠新道で一緒に登っていたおじいさんがまだ到着していなかったので心配しましたが、山荘のしたで座っているのを発見。食事もなんとか用意してもらっていたのでほっとしました。

その後布団に横になった後は、爆睡。朝方御来光を見る人達がごそごそし始めたので目を覚ますまで熟睡しました。
この日の朝は雲もありましたが、槍ヶ岳の左側から昇る朝日は昨日の疲れを一掃するすばらしさでした。朝食を頂いた後、6時に頂上に向かって出発。10分ほどで着きます。




御嶽、乗鞍、焼岳、白山、それに黒部五郎や薬師、立山、剣も見えました。クリヤ谷に下っていく人もいました。



6時30分下山開始。新穂高ロープウェイの上り最終に間に合うように帰らないといけないので、笠新道をまた下るか迷いましたが、行きの苦労を思い出したくないし、辛かったら最悪タクシーも考えて、鏡平回りに決めました。


稜線では何度も後を振り返って笠ヶ岳を眺めました。秩父平までは順調に下って、雪渓のところで少し休憩。その後大ノマ岳への登りがあり、昨日の激務がよみがえります。それに、日焼け止めを塗っていなかったために、両腕と首が真っ赤。ザックを下ろす時に擦って痛かったです。
 
苦しいなりも予定通りに大ノマ岳に到着し、頂上で少し休憩。その後、大ノマ乗越への下りの途中で雷鳥発見。全然逃げないので写真を撮りまくりました。



実はそれまで地図を見てなかった為に、大ノマ乗越を双六との分岐と勘違いしてて、廃道になった道を下ろうとしていましたが、後から来た青年に、「分岐はこの登りを越えて弓折岳を越して下ったところですよ。」と言ってくれました。「うぇ。また登り…」とウンザリでしたが、頑張るしかないので、エッチらオッチら登りました。

11時過ぎに弓折岳に到着。のっぺりした頂上で雪渓が残っていました。間もなく下ったところに人がにぎわう分岐があり、鏡平山荘を眼下に見ながら下っていきます。12時過ぎに、鏡平山荘に到着。ここでも人が大勢でした。テラスで昼食をとって、12時半に小池新道を下ります。




足の爪先がひどく痛み出し、石を敷き詰めてある道がかなりつらくなってきました。できるだけ爪先に体重をかけないように、だけど焦る気持ちを抑えられず、どんどん下っていきました。午後2時半に、砂防工事をしている左俣谷の林道に出ました。

小池新道の登山口からわさび平小屋は20分ほどで着き、そこで休憩。トマトやキュウリが冷たい水に浸されて売っていました。喉が渇いていたので炭酸ソーダを買いました。荷物を出来るだけ軽くして要らなくなった水を捨てて、食料も食べ尽くして、3時過ぎに出発。

林道を歩いていると、右足裏がやけに傷んできて、始めは石コロが入って踏んでいるんだと思い、靴を脱いで振るい落としてみたけど石は出てこなく、?と思いながら痛さに耐えながら歩きました。後で見てみるとでっかい肉刺ができていました。

林道の車止めを通過し、ショートカットでロープウェイ乗り場に着いたのが3時40分。ものすごい達成感で、久々登山の魅力が蘇りました。足の肉刺や日焼けでボロボロになりながらも、二日目は体調も回復して大満足で行程を終えました。

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